2026-07-27
健診と予防接種の告知が、毎年ぶっつけ本番になっていませんか
「今年もそろそろですよね?」の電話が鳴ってから動いていないか
10月の受付。「インフルエンザの予防接種、もう始まってますか」という電話が日に何件も入るようになります。院内には手書きの掲示を貼り、スタッフが口頭で案内する。けれどサイトのお知らせ欄を見ると、いちばん新しい投稿は去年の同じ告知のまま——という光景は、決して珍しくありません。
これは怠慢ではなく、単純に順番の問題です。季節の診療は毎年必ず来るのに、準備が「問い合わせが増えてきたこと」をきっかけに始まってしまう。その結果、いちばん患者さんが探している時期に、サイトだけが去年のまま取り残されます。健診や予防接種は、院の側から見れば毎年の恒例業務ですが、患者さんから見れば「今年どうするか」を今まさに決めようとしている案件です。
季節の診療は、需要が一斉に立ち上がる
風邪や腹痛の患者さんは、一年を通じてばらばらに発生します。一方、予防接種や健診、花粉症は違います。ニュースやテレビ、自治体からの封筒、職場の案内をきっかけに、地域の人が同じ週に一斉に「そろそろか」と思い立ちます。
このとき起きるのが、検索の集中です。「〇〇市 インフルエンザ 予防接種 予約」「〇〇駅 健診 受けられる」といった検索が、短期間に集中して発生します。そして患者さんは、上から順に開いたサイトの中で、いちばん早く「やっています・いくらです・こう予約します」と答えてくれた院に電話をかけます。ここで自院のサイトに何も書かれていなければ、診療自体は問題なくできるのに、候補にすら入りません。季節の集患において、告知が2週間遅れることは、単に2週間の遅れではなく、その年のピークを丸ごと逃すことを意味します。
健診は「まだ受けていない人」が半分近くいる
「健診はどこも同じだから、うちが告知しても変わらない」と感じる院長もいますが、実際には未受診の層がかなり残っています。
厚生労働省の2022(令和4)年国民生活基礎調査によると、過去1年間にがん検診を受診した人の割合は、最も高い肺がん検診でも男性53.2%・女性46.4%にとどまります。乳がん検診は47.4%、子宮がん(子宮頸がん)検診は43.6%で、いずれも半数前後です。つまり、地域には「受けたほうがいいとは思っているが、まだ受けていない」人が同じくらいの規模で存在しているということです。
この層が動くきっかけは、たいてい自治体からのクーポンや受診券が届いたときです。封筒を開けた人がまず知りたいのは「近所のどこで受けられるか」「予約が要るのか」「どのくらい時間がかかるのか」の3点です。自院が対応していることをサイトに書いていなければ、封筒に同封された医療機関一覧の中から、より情報がはっきりしている院が選ばれます。
予防接種は「いつまでに打つか」を伝えると行動が変わる
インフルエンザ予防接種の告知は、多くの院で「10月1日より開始します」という一行で終わっています。しかし患者さんが本当に迷っているのは、開始日ではなく「自分はいつ打てばいいのか」です。
厚生労働省は、日本ではインフルエンザが例年12月〜3月頃に流行し、1月末〜3月上旬に流行のピークを迎えるため、12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいとしています。この目安を知らない患者さんは少なくありません。「10月から受付中」だけでなく、「流行のピークは1月末以降なので、12月中旬までの接種をおすすめしています」と理由まで書けば、「じゃあ11月のうちに行こう」と予定が具体化します。あわせて、料金・予約の要否・小児の2回接種の間隔・65歳以上の定期接種の扱い(自治体により助成があります)まで書いておくと、受付に集中する問い合わせがそのぶん減ります。
花粉症は、飛び始めてからでは告知が遅い
花粉症は、対象になる患者さんの数がとりわけ大きいテーマです。環境省によれば、2019年の調査で日本人のおよそ3人に1人がスギ花粉症と推定されており、有病率は10年ごとの調査でおよそ10%ずつ増え続けています。スギ花粉が飛散するのは2〜4月頃です。
ここで重要なのは、告知のタイミングです。2月に入って症状が出てから「花粉症の診療を行っています」と書いても、その頃には多くの患者さんがすでにどこかを受診しているか、市販薬で済ませています。飛散前から備えたい患者さんが情報を探し始めるのは1月のうちです。舌下免疫療法のように開始時期が限られる治療を扱っているなら、なおさら早い告知が必要になります。「毎年つらい思いをしている人に、今年は前もって来てもらう」という発想でカレンダーを逆算すると、告知は自然と1か月以上前倒しになります。
年間カレンダーを1枚作れば、翌年からは「更新」で済む
一度きりの対策ではなく仕組みにするために、季節テーマと告知を出す時期を1枚の表にまとめておくことをおすすめします。自院の診療内容と地域の自治体スケジュールに合わせて、たとえば次のような形です。
| 診療テーマ | 患者さんが動く時期 | 告知を出す目安 |
|---|---|---|
| 花粉症(飛散前の相談・薬の準備) | 1〜4月 | 12月下旬〜1月上旬 |
| 自治体健診・特定健診 | 自治体の実施期間に準ずる | 受診券の発送時期に合わせる |
| 舌下免疫療法などの開始時期が限られる治療 | 開始可能な時期 | その2か月前 |
| インフルエンザ予防接種 | 10〜12月 | 9月中 |
| 年末年始の休診・急な発熱への対応 | 12月 | 11月下旬 |
この表を院内で共有しておけば、担当者は毎年ゼロから考える必要がなくなります。前年の原稿を開いて、日付・料金・予約方法の3点を今年の内容に直すだけ——年間の作業が「執筆」から「更新」に変わることが、この表のいちばんの効果です。
告知ページは毎年作り直さず、同じURLを使い続ける
もうひとつ、地味ですが効いてくるのが、告知ページの扱い方です。「2025年度インフルエンザ予防接種のお知らせ」という記事を毎年新しく投稿していくと、年数が経つほど古い告知がサイトに積み上がります。患者さんが検索から古い年度のページにたどり着き、去年の料金や去年の受付期間を見て電話をかけてくる——という取り違えは、実際によく起こります。
そうならないよう、「インフルエンザ予防接種について」「健診・人間ドック」のように年を含まないページを1つ作り、毎年その中身を書き換える運用にします。URLが変わらないので、検索での評価が毎年積み上がり、院内掲示に印刷したQRコードも翌年そのまま使えます。ページの冒頭に「2026年度の受付を開始しました(最終更新:2026年9月20日)」と一行入れておけば、情報が今年のものだと患者さんにもすぐ伝わります。年ごとの短いお知らせは、この固定ページへのリンク付きで出す。この形にしておくと、告知が増えてもサイトが散らかりません。
来月ぶんだけ、先に書いておく
すべてを一度に整えようとすると、かえって手が止まります。まずは、次に来る季節テーマをひとつだけ選び、その告知を1か月前倒しで書いてみてください。それだけでも、例年より早く問い合わせが入り始めることに気づくはずです。季節の診療は毎年必ず巡ってくるからこそ、「先回りして書いてある」という状態そのものが、そのまま差になります。
FlagshipWorksでは、現役医師とWebデザインの専門家の視点から、季節ごとの診療をどう伝えるか、告知ページをどう設計して毎年無理なく運用するかまで含めてお手伝いしています。「毎年インフルエンザの時期に慌てている」「健診の案内をどこに載せればいいか分からない」と感じていましたら、お気軽にご相談ください。
参考
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